先輩が残したご飯を貰おうとしたら変な風になっちゃった話


私が今働いているチームには、ランチを一人で食べる文化がない。

「え、ご飯一人で食べてたの?」

配属初日、当たり前のようにbotch飯を決め込んだ私は、
まるで纏足と辮髪を両立し、家畜の数で甲斐性を競い、
黒曜石のペニスケースを着用する少数民族のように異質に見えたらしい。

些かカルチャーショックではあったが、
その次の日からは、先輩たちと一緒にランチを食べるようになった。
丁度ポケモンGOが流行り始めた頃で、
信心深い私はGOに入ってはGOに従えという神の啓示と理解したのだった。

しかし、カルチャーショックはそれだけでは済まされなかった。
彼らとの文化の違いに苦しんだ一幕について話そう。。
(※念のため、これは留学経験とかじゃなく、ただ単にコミュ将が会社員になった時の話である。)

事の発端は、チームの先輩(仮に「あやや」と呼ぶ)が、
茶碗に幾ばくかの白米を残したまま、食事を終えようとしていたことだった。

元来、食べ物を残すことに強い抵抗を覚える私は、
学生時代と比べても衰えを感じさせぬさも当たり前のような感じで

「ご飯、頂きますね」

と一言断るや否やあややの残したコメを掻き込んだ。
その途中、課長までもがご飯(及び付け合わせのキャベツ)を残しているのを見つけ、

「あ、課長のも頂きますね」

報連相の原則に基づいて上長の承認を得るや否や、
課長の残したコメを掻き込み、キャベツを咀嚼した。
テーブルの上には、清々しいほどにemptyな食器だけが残った。

私は自らの有する食欲(リソース)を通じて、
残飯(イシュ―)を処理(ソリューション)した

(要約:良いことしたぜベイベー)
という認識しか頭になかったため、
先輩方が「コイツ、マジか…」ってなっていることを知る由もなかった。

後日、先輩(仮にiQOSと呼ぶ)が、本件について説教を垂れた。
「いいか、お前な、あー…お前はどうしてこう…そうなんだ!もっとこう…色々あるだろう!
あぁ?聞いてんのか?罰として残業10時間!」

※実際には上記のようなパワハラまがいの説教は行われていない。
しかし、博多ラーメンのようにか細い麺タルを持つ私には、
そのように聞こえたというだけの話である。
そもそも先輩はiQOSとか吸ってない。


とにかく、この一件から

「先輩の残したご飯を食べるのはアウト」
という教訓を不本意ながら学んだのだった。
今も部署のメンバーでランチを食べているが、
あややの残したコメがベルトコンベアの向こうへ旅立つのを見送る毎日を過ごしている。