飲み会教習所 ~前編~

私はサラリーマンとしての才覚に欠けるようで、
毎日のように先輩からの叱咤激励ご指導ご鞭撻カンジャンケジャンを浴びながら暮らしている。
あまりに頻繁に怒られるため、
先輩の怒りの沸点が通常よりも低いんじゃないか錯覚するほどであるが、
弊社の住所は南アルプスでもネパールでも火星でもない。
その証拠に、部長が平素より常食しているダブルコンソメパンチの袋が、
気圧の低さによりパンパンに膨らむことは決してないのだ。

 

ただ単に、私の日頃の行いがナットランのである。
しかし、なかなかどうして社会人としての所作は一朝一夕では身に付かない。
毎日新しいことを注意され、
その傍らで習ったけど運悪く忘れちゃった事案を注意され、
時々習ってないと分かるわけないことを普通に注意され…
毎日がパンク寸前と言っても過言ではない。
インプット過多による前頭葉自然発火を防止するために、
こうして考えを整理している次第である。

 

さて、叱られる案件は多岐にわたるが、
中でも最も頻繁に指摘されるのが、
「飲み会での気遣いが出来ない」ことだ。
少しヘマをやるだけで
仕事でしくじった時を凌駕する勢いで叱られるので、
正直かなり参っている。

 

気遣いのできない人間にとって、
飲みの席はさながら赤外線を張り巡らされた通路のようなものだ。
気を付けることが多過ぎて、
少し油断するとセンサーに触れてブザーが鳴る。
何かに気を取られ、片手落ちになる。
次にその逆。
悪循環。

もはや「気遣い」と「気違い」の見分けがつかない。

(老眼鏡の宣伝)

 

というわけで、この場を借りて、
およそ40万人に上ると言われる新入社員諸君が、
この難解なダンジョンを攻略するためのヒントを備忘録として残したいと思う。

いつの日か、飲み会の教習所が設立されるのを夢見て・・・!


0.前提
まず、新入社員は飲み会の幹事をやらされることが多いため、
あなたが幹事であるという前提で話を進める。
ちなみに新入社員の場合、
幹事でなくとも幹事に引けを取らない立ち居振る舞いが求められている場合も多いため、
とにかくあなたは幹事である。幹事長でも、総書記でもない。幹事だ。


1.飲み会が始まるまで

まず幹事は誰よりも早く会場に到着しなければならない。
しかし幹事の日に限って、終業時間間際に電話がかかってくることだろう。
今日は海外拠点のマネージャーが、
為替変動の販価への影響について何やら報告したいらしい。
しかしそんな時はラジオDJ風のトーンで、

"Yeah,I'm Kanji!! I can't English now!! See you very much!"

と言い捨て、颯爽と電話をガチャり、
居酒屋へ直行しなければならない。

でも大体の場合、誰かしら先に来ていてお待んた聖矢~と言わざるを得ない。


2. 飲み会序盤
会場に着いたら、まずはテーブルのインフラ整備に取り掛かろう。
さながら、高度経済成長の真っ只中、
日本中に道路網を張り巡らせた田中角栄のように。

卓上のインフラ整備は
・箸
・おしぼり
・取り皿
・水(飲み会じゃなくてご飯の時)

を徹頭徹尾徹底しよう。

この時の注意は、これらが出来たからと言って気遣いが完了したと油断することだ。

まだ乾杯も始まっていないからな。

ちなみに取り皿の数が合わない は飲み会あるあるなので、
回転寿司店の会計時並みに枚数に細心の注意を払うこと。

 

あと地味に大事なのは、すぐに注文できるように、
注文ボタンを自分の近くに置くこと。
ボタンが固定式で動かず、しかも席の奥の方にある場合は、、
「新入社員が座ったら明らかに怒られるであろう上座オブ上座に注文ボタンがあるのはおかしい」
とカスタマーセンターに電話をかけよう。

 

~後編へ続く~